構造化P2Pネットワークに関する研究

概要

インターネット上に分散するコンピュータを連携させる方法として、構造化P2Pネットワークの研究が盛んに行われています。2010年までに、ChordやSkipGraphなどの構造化P2Pネットワークが提案され、BitTorrentなどのアプリケーションも開発されてきました。構造化P2Pネットワークを利用することにより、100万個を超えるコンピュータを効率よく連携させることができます。

武田研究室においても、構造化P2Pネットワークに関するの研究を行っており、決定的アルゴリズムに基づいた構造化P2Pネットワーク「Waon」を提案してきました。従来の構造化P2Pネットワークはハッシュ関数などのランダム性を利用して負荷分散を行っていたのに対して、我々が提案するWaonではランダム要素を含まない動的制御によって負荷分散を行います。Waonでは、ランダムに決定される要素(ノード配置・データ配置・ルーティングなど)が存在しないため、負荷分散やメッセージ通信などを意図的に制御することができます。

現在までに、シミュレーションを用いてWaonの性能評価を行い、Waonは以下の特徴を持つことがわかっています。

  1. 100万ノード以上を収容可能なスケーラビリティ
  2. 端末の性能を考慮した動的な負荷分散
  3. 範囲検索が可能
  4. 物理ネットワークのトラフィックを削減

これらの特徴を有するWaonは、多数のコンピュータの連携が必要となるサービス(クラウド環境におけるストレージサービス・ストリーミングサービスなど)の通信基盤ネットワークとして有効であると考えています。

Waonの基本コンセプト

この研究に関する助成

この研究は以下の助成を受けて実施しています。

– 文部科学省科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究
    課題番号:90424001
    題目:やわらかい構造型P2Pネットワーク:Waon
    代表者:武田敦志
    期間:2011年度~2012年度
– 文部科学省科学研究費補助金 若手B
    課題番号:257300064
    題目:決定的アルゴリズムに基づき動作する構造化オーバーレイネットワークの設計と実装
    代表者:武田敦志
    期間:2013年度~2015年度

発表論文

  1. 生出拓馬, 武田敦志, 高橋晶子, 菅沼拓夫, “ネットワークアウェアなP2P型安否情報共有システムの提案”, 情報処理学会論文誌, vol.55, no.2, pp.607-618, 2014.
  2. Atsushi Takeda, Takuma Oide and Akiko Takahashi, “Simple Dynamic Load Balancing Mechanism for Structured P2P Network and its Evaluation”, International Journal of Grid and Utility Computing, vol.3, no.2-3, pp. 126-135, 2012.
  3. Atsushi Takeda, Takuma Oide and Akiko Takahashi, “New Structured P2P Network with Dynamic Load Balancing Scheme”, Proceeding of the 25th International Conference on Advanced Information Networking and Applications – Workshops (AINAW2008), pp.108-113, 2011.
  4. 武田 敦志, 生出 拓馬, 高橋 晶子, “構造型P2Pネットワークにおける動的負荷分散法”, 第18回マルチメディア通信と分散処理ワークショップ (DPSWS2010), pp.119-124, 2010. (優秀論文賞受賞)

受賞

– 第18回マルチメディア通信と分散処理ワークショップ優秀論文賞
    (情報処理学会マルチメディア通信と分散処理研究会, 2010年)
– 石田實記念財団研究奨励賞
    (一般財団法人石田實記念財団, 2013年)